「バーチャル藝大」とは、東京藝術大学が文科省、JSTが運営するCOI拠点の活動として産学連携で行うプロジェクトの一つです。10年後の目指すべき社会像を見据え、研究開発を行っています。
本プロジェクトは、ICT等の新技術を活用しつつマネジメント(計画・整備・管理・運営)を行い、芸術活動が抱える諸問題に対し最適化を図るべく、持続可能な演奏会、美術展の開催とプラットフォームの構築を目指し、アーティスト、イベント企画者、ホール関係者、視聴者の声を聞きながら開発を進めています。
またコロナ禍においては、演奏会などをコロナ以前と同様に行うことはこの先も難しいと見られており、リアルに迫るアーティストの活躍の場の創造や、存続が危ぶまれる会場の持続性の担保などが急がれる中、アートの世界に新たに提示された様々な問題を解決し、withコロナ、afterコロナの時代に向けた新たなスタンダードを創造すべく、本プロジェクトに取り組んでいます。
2021年6月27日に実施、公開された実証実験Phase_01は、作曲家・千住明特任教授率いるSENJU LABの協力のもと、東京藝術大学奏楽堂、その名もVIRTUAL SOUGAKUDOU で開催された新しい試みの演奏会実証実験。メインアングルの映像に加え、4つの異なる方向から撮影した映像が加わった計5アングルを視聴者が自由に切り替えて演奏会を楽しむことができる。
「SENJU LAB」は、東京藝術大学のすべての学生を対象に開かれ、学年と専門の壁を取り外し、それぞれがクリエイターとしてコラボレーションを考える作曲家・千住明特任教授率いるラボ。受講生達がそれぞれの専門の枠を超えて協同し、東京藝術大学で培ってきた確かな基礎の上に、映像・美術・音楽・プロデュース・エンジニアリング等のコラボレーション作品を生み出している。未来のマルチメディアとの関わりを考えることを目的とし、「美術と音楽をアートする」をコンセプトとしながら、社会に寄り添える音楽、ファッションやデザインとしての音楽を考え、新たな可能性を探る様々なアートの実験を行う。
10月15日配信スタートの実証実験phase_02は、2021年8月14日河口湖ステラシアターにて開催された、富士山河口湖音楽祭2021でのぱんだウインドオーケストラのコンサートを、河口湖ステラシアターと東京藝大卒のサクソフォン奏者・上野耕平さんのご協力のもと、収録。会場となった河口湖ステラシアターをデジタルツイン化し、バーチャル空間上での配信を行います。
会場では、物販スペースや、映像視聴スペースが各所に設けられているだけでなく、これまでのように決まった画角で提供されるコンテンツ配信とは異なり、リアルでも見ることのできなかったオーケストラの各奏者を目の前で見ることができる22アングルの中から視聴者が自由に自分の観たいアングルでコンサートを見ることができる「パフォーマーズビューシステム」を搭載したビューアーを提供。従来のテレビ、DVD、youtubeといった媒体とは違う、新しい音楽体験と感動をお届けします。
「ぱんだウィンドオーケストラ」は、吹奏楽へのアツイ思いを原動力に2011年に結成。次世代を担う管打楽器プレイヤーがそろう新進気鋭の吹奏楽団。楽団名は時を同じくして上野にやってきた二頭の“パンダ”に由来。テレビ朝日「題名のない音楽会」やNHK-Eテレ「ららら♪クラシック」のほか、テレビ・雑誌・新聞などメディアの出演も多数。「PANDASTIC!! Live2016」(日本コロムビア)など6枚のCDをリリース。
2021年6月、PHASE01にてライブ配信コンサート「SENJU LAB Brass」、VR展示「バーチャル奏楽堂」を開催した、東京藝術大学千住明創作ワークショップSENJU LABが再登場!2015年からの活動の集大成として新旧作品による配信コンサートを開催します。
東京藝術大学COIプロジェクト デザイニング・ミュージック&サイエンス グループ成果報告の場として、バーチャル空間にて様々な映像作品やコンサート作品をご覧いただけます。
今回のバーチャル空間の舞台は、1892年建築(東京市本郷区)の武家屋敷の一部が軽井沢に移転復元され、2020年にリノベーションされた建物です。2021年秋に撮影された建物の風景や内装も巡っていただけます。1つ1つの空間では映像作品を選び、楽しんで鑑賞していただき、時にはインタラクティブに参加していただけます。どうぞお楽しみ下さい!
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)により人々の生活が大きく変化し、仕事もエンターテインメントもオンラインでのリモート環境が当たり前になった。東京藝術大学では、原則として構内への立ち入りが禁止となり、オンラインでは、アンサンブルのレッスン、太鼓、管楽器など自宅では音が出せないといった、芸術教育、レッスンなどへ影響が長らく続いている。また、コンサート自体の開催が難しいということに加え、開催したとしてもこれまでチケット売上による売上規模を背景に回収するというかたちで行ってきているため、「3密対策」が前提となると、規模が確保できず企画が成り立たないというのが現状。
オフラインコンサートの開催が未だ難しいという現状を踏まえて、チケット収入に加え、それ以外の売上を確保できるオンライン上のコンテンツの開発が急務となった。